その一方、楽器の販売のほうは十分に生活費を捻出するだけの売り上げがある。
現在のところ、楽器製作と販売がメイン事業であるので、その経緯についてダラダラと書いておこう。
一番最初に作ったのはクラシックギターだが、これは実に出来が悪く、現在は販売中止処分にした。
何が良くないかって、まずその造形。
ボディ部分は薄くした円柱を二つくっつけただけ。
あのギターのセクシーなくびれが、まったくもって表現できていない。
演奏のスクリプトもお粗末であった。
アニメーションは面白みがないし、10秒のサウンドをひたすらループするだけのものだった。
まあ、最初に作ったものであるから、その程度のものでも止むを得ないとは言える。
次に作ったのはバイオリンである。
さすがにバイオリンは円柱二つをくっつけるだけでは見栄えが悪すぎ、かなり苦労して曲線を形成した。
SL公式ページでも紹介されている、ギター作成のムービーが非常に参考になった(
https://secure-web5.secondlife.com/community/videos.php:ここのSuzanne's Guitarというムービー)。
しかし、バイオリンのアニメーションを作る段階で壁に突き当たる。
左手と右手、はたまたアゴの位置関係がうまくできなかった。
DAZ|Studio(
http://www.daz3d.com/)を使用していたが、まずツールの使い方がわからいというレベルであったから、まともに作れないのも当たり前である。
かくしてバイオリン製作は行き詰ったまま2ヶ月余りが過ぎる。
日本人コミュニティからも離れて、ほとんど海外留学のような状況が続いたが、その間スクリプトやアニメーションについてもより知識が増え、頓挫していたバイオリン製作を再開しようと思い立った。
アニメーションはやはり難しかったが、どうにもならないというほどではなかった。
やっかいだったのは、ツール上で作ったアニメーションと、実際にSLにアップしたときのアニメーションとで動きが異なる場合があることだった。
確認するにはアップしなければならず、アップのためにはL$が必要となる。
何度もアップするほどの資産はなかったから(当時は多くても2000L$くらいしか所持していなかった)、アニメーションの確認作業は非常に難航した。
しかし、この確認作業にはテストグリッド(
http://secondlife.com/community/preview.php)が有効であることを知った。
テストグリッドではテスト用のL$が60000ほど支給されているので、アップする料金を気にすることなく作業ができる。
これを活用し、バイオリンのアニメーションはなんとか仕上がった。
同時にスクリプトも改良した。
最初に行った改良は、10秒以上の曲への対応である。
SLのサウンドはサーバー負荷軽減のために10秒までと決められている。
10秒以上の音楽を流すには、スクリプトを利用して分割されたサウンドを連続して鳴らす必要がある。
スクリプト自体はジュークボックスなどのフリーのものが出回っているのでさほど苦労はしないが、面倒だったのはサウンドの分割である。
10秒ごとにwavファイルやmp3を分割するのに、GoldWave(
http://goldwave.com/)というサウンド編集ツールを使用した。
バイオリンをMagSLの池袋に持っていって披露したところ、そこそこにウケが良かった。
以前より知り合いだった眼鏡屋さんが、店に商品を置かせてくれるというのでお言葉に甘えると同時に、次の楽器製作に取り掛かった。
グランドピアノである。
primによる造形にはだいぶ慣れたので、実質2日ほどで作ることができた。
完成したピアノを池袋のカフェで披露していると、高田馬場のカフェのマダムが気に入って下さって、店に置かせてもらうことになった。
現物を見れるというのは宣伝効果が高く、おかげでピアノは順調に売れている。
次に作ったのはトランペットである。
サックスにすべきかトランペットにすべきか迷ったのだが、クラシックな路線で来ていたのでトランペットを選んだ。
こちらも作成は4、5日で済み、池袋のカフェでスターウォーズのカンティーナサウンドなど演奏して盛り上がったが、演奏時には様々なパフォーマンスが出来たほうが楽しいということを知らされた。
そこでスクリプトの改造をするとともに、HUDを開発することにした。
演奏する曲の選択、演奏時のアニメーションなどを操作するためのHUDである。
このHUDをMIZMIと名付け、今までに作成したクラシックギターやバイオリン、ピアノも全てMIZMI対応のものに切り替えた。
続けて、ストラトタイプのベースやレスポールタイプのギターなどを作成。
出来の悪かったクラシックギターも作り直した。
MIZMIもバージョンアップし、アニメーションの追加を可能にすると同時に、演奏している人同士が連携してダンスするような仕組みを作った。
これにより、バンド演奏のパフォーマンスが可能になった。
他にもウクレレ、ドラムセットなど作っているが、今のところ販売していない。
楽器に関してはMIZMIスクリプトが十分に完成しているため、造形とアニメーションさえ出来れば新規開発は容易である。
次はサックスあたりを作ろうかと考えている。
商品の売れ行きを見ると、ピアノ、バイオリンがよく売れているようだ。
次いでトランペット、クラシックギター。
意外にもベースとエレキギターはあまり売れていない(最も新しい商品だからというのもある)。
作った本人としては、MIZMIのアニメーション連携機能が最も生きるのがベースとギターであり、ぜひこれでバンドパフォーマンスを楽しんで欲しいと思うところなのだが(^^;
少々重いが、MIZMIのデモムービーをご覧いただければ、バンド演奏の楽しさが伝わるかと思う・・・。
というわけで、しばらくは楽器屋家業を続けるつもりでいる。
「こんな楽器が欲しい」
「あんな演奏がしたい」
などの要望があればぜひお寄せいただきたい。